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ガソリンタンク修理 BNR32

スカイラインGTR(BNR32)のガソリンタンクでの

ガソリン漏れの修理が顕著に増えています。

タンクの運転席側の後方部、

タンクを保持するための金属バンドの接合部付近に亀裂が発生し

ガソリンを満タンにするとその付近からにじみ出る現象です。

本来であれば新品交換すべきですが、

まさかの生産中止で、

FPCMのような制御回路であれば

最新の半導体等を使うリニューアルの発想で製作できましたが

ガソリンタンク・・・これは作れません!

 

初めてBNR32のガソリン漏れに遭遇した頃は

日産から購入できていたのですが生産中止のため

ヤフーオークションなどでの中古での検索と同時に

ステージア260RSのガソリンタンク、

満タン量が5Lくらい少ないのですが、

無加工で装着できる情報が日産より告知され、

この2つの選択肢で対応していました。

しかし、ステージア260RSのガソリンタンクも

売り切れたのでしょうか・・・

生産中止になってしまい、

するとオークション価格が爆上がりし、

ヤフオクでの良品の高騰に加えて、

割れる寸前の状態の半不良品も多く、

BNR32での適正な修理対策は必須で、

修理を検討するようになりました。

 

あ、

オークファンにはご注意ください。

粗悪な中国人がたくさんいますので・・・

 

スカイラインGTR系のガソリンタンクは

高密度ポリエチレン樹脂(PE-HD)をベースに作られています。

「PE」はポリエチレンを表わし

熱可塑性プラスチックと呼ばれる加熱で柔らかくなる性質を持っています。

PE-HDを主として、そこに異なる素材を加える事で

強度や耐久性など、

ガソリンタンクに都合の良い材料に調整されているようですが、

それでも、ガソリンがにじむ現状が多発しています。

もしかしたら・・・ですが、

日産は製造時、これほど多くの人たちが30年以上も乗り続けると

想定していなかったのかも知れません。

 

修理方法として、

接着剤を使用する手法がありますが、

短期的には耐えられても長期的には再発の可能性が高く、

ガソリンタンクを固定するためのバンドで締め付ける構造のため

固まった状態からの取り付けの際の応力によって

割れが再発したり

その部分だけが弱くなってしまうリスクがあります。

そのため、樹脂を高温で溶かして接合する方法が優良と考えています。

通常のPE-HDは、410℃で溶け始めるのですが

こちらでのテストではまったく変化が無く、

500℃弱でやっと融解の兆しが発生します。

PE-HD以外の素材を混ぜる事で

おそらく柔軟性よりも硬度を上げ、溶けにくくなっていると思われます。

しかし、接合のために温度を上げるだけの方法では

樹脂に酸素が混ざったり、高熱すぎると炭化するなどの変質のリスクがあり、

そのような方法では見た目には修復できたような様子でも

短期的により大きな亀裂が発生し

修復不能な破損に至る可能性が上がります。

鉄棒などを加熱して溶かす方法では

接触箇所による温度差が大きいため、

炭化や酸化以外に修復後の均一性を保てない問題もあります。

 

それらを対策する方法として、

酸化を防ぐために窒素ガスを500℃くらいまで加熱し、

狭い範囲で噴射を行い、

修理箇所との距離の調整での溶接修理を行う手法があります。

↑高温の窒素ガスを噴出する数ミリの先端部です。

もちろん溶接作業前の下準備も必須で、

亀裂の場所を追い、不純物を除去し

ガソリンタンク取り付け後の応力を分散するために

範囲を広げて、補修と補強も考えながら、

窒素ガスの圧力調整によって施工を行います。

ガソリンタンク修理の際には燃料ホース類も交換も安全です。

純正部品が安心ですが

めちゃく値上がりしているのですが、

これだけは仕方ないとあきらめています。

以前、コストを抑えようと社外部品を試した事があるのですが

数か月後に触ってみると新品当初よりも柔らかく、

慌ててすべてのホースを純正に戻した事がありました。

ところで、

このガソリンタンクの上部には

燃料センサーが一体になったガソリンホースの取り付け部がありますが

こちらもガソリン漏れのトラブルが増えています。

先端部のホース差込部の勘合箇所

亀裂の内側はパイプ状の空洞の構造で

金属パイプが圧入された負荷と経年劣化で

ヒビからガソリンが漏れる症状です。

BNR32で室内が何だかガソリン臭い・・と思われた際には

このような状態になっている可能性があります。

そして、これも生産中止です。

ガソリンタンクのPE-HDとは違うPOMと呼ばれる樹脂素材で

溶ける温度はPE-HDよりも30℃~50℃くらい上で、

柔軟性が低い素材のため、

加熱の時間調整はより繊細になりますが、

修理用の溶接素材は準備されているため、

こちらも修理は可能です。

 

これらの修理の事案ですが、

保険会社でのロードサービスが適用される事例が多いです。

ガソリンが漏れている事への緊急性、危険性と

修理の部品がすべて生産中止である事で

こちらでの搬送がこれまでは認められました。

先日は関東方面からの回収を実施です。

ネット保険系、共済系、三井住友海上以外でしたら

リオから積載車でお引取り可能です。

ご相談などありましたらご一報ください!

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