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FPCM(Fuel Pump Control Module)オリジナル6

11.プログラムの適正化による半導体類の発熱の抑制

↑純正FPCMの電気的制御を

オシロスコープによって視覚化した波形です。

一番下のグラフは、

燃料ポンプの回転数のコントロールのためのパルス信号です。

「サメの背びれ」か「ノコギリの刃」のような形状ですが、

このような波形はFETに負担を与えます。

斜めの波形は、スイッチが入る前の待ち時間が長くなってしまい

その間の通電によって無駄な発熱量が増加します。

波形を↓のようにマイコン制御する事で、

FETの発熱を抑制できます。

電子基板では、通電効率、耐久性、熱対策はとても重要です。

プリント配線は通電だけでなく放熱の効果も大きく

発熱の高い半導体チップ取り付け位置

放熱ダクトの設置など複数の設計対策で総合性能が向上します。

 

12.逆起電力への対策

電気の流れで作られた磁力で動力を得るモーターのような回路では

通電オフ時に逆方向への電流が発生します。

モーターやソレノイドのような磁力を利用するオンオフの機器を

電気的には誘導性負荷駆動回路、

発生する逆向きの電流を逆起電力と呼びますが、

これらも電子回路に大きな負担を与えます。

そのため、絶縁ゲートドライバーという回路で、

ゲート端子に電圧をかけ駆動制御を行っています。

FETと同様にそれらの回路も発熱のリスクがありますが、

これらにも基板への取り付け位置やプリント配線、

ダクトの設置で熱対策を行っています。

ニスモポンプなどの純正よりも大容量の燃料ポンプでは

純正よりも逆起電力も大きくなりますが、

逆向きの電気はプラス側に戻す充電の原理と同じ方法で

負荷対策と電気ロス対策も行っています。

 

13.多層基板、肉厚のプリント配線の使用による積極的な放熱の実施

iPhoneなど、最近では一般的になりつつあるのが多層基板です。

従来の基板は一枚の表裏を使用するため

電子部品の設置や配線の通路などのスペース的な制約が発生し、

「交差点十」のようなクロスする回路はショートしますのでNGです。

近接するプリント配線の幅での制約で、

大きな電流量では無理が発生するケースもあります。

しかし、多層であれば都会の地下鉄や地下街のように

交通量の多いところでは上下で通路が並行した構造による対策も可能です。

空きスペースにプリント配線を広げて放熱用ヒートシンクにもできます。

↑基板の一部のX線撮影画像です。

 

使用する電子部品の選別にも大切です。

高耐熱、長寿命の高分子固体コンデンサーを

制御信号には耐ノイズ性を向上させるための絶縁回路では、

耐久性に懸念のあるディップスイッチなどは排除し

スイッチ系はデッドマンスイッチや

一時的な制御によるリレー回路以外では

半導体によるプログラム制御での接点レス構造を採用し、

プリント配線も肉厚で品質の高いタイプを使用しています。

 

14.環境温度検知用センサー

基板に温度検知のためのサーミスターを設置し、

一定温度超過でバイパスリレー100%直結になっています。

基板本体の発熱や外的な加熱に対応し、

高温で制御が難しい非常事態でも

エンジンを停止させないシステムです。

 

15.カプラー部の新型化

最後まで懸案だったのが純正カプラーとの接合部です。

純正と形状を同じにすれば装着には便利ですが、

これまでのFPCMにでの作業時、

黒く焦げているカプラーを何度も目視しているため、

純正では容量不足になる使用環境を懸念し、

大電流タイプの大きな2ピンカプラと

小さな信号用の4ピンカプラの2系列に分け

高性能化とコストダウンを行いました。

 

R’sミーティングで展示の基板です↓

数値変更が可能なプロトタイプ、

この初期型でのテストで量産型の数値が決まりました。

そして、販売用の基板(量産型)です。

 

 

FPCMのオリジナルと販売用の製品では、

ガンダムとジムのような性能差はないですが、

操縦はどちらもアムロ・レイです。

 

価格は税別¥65,000です。

おかげ様で初期分は完売しました。

現在、追加分を最先端の技術で鋭意製作中であります。

常連のお医者さんのお話では、

肝臓を「沈黙の臓器」と言うそうです。

不調に至ってもぎりぎりまで痛みが無く、

気がついた時には重篤な症状に至っている事が多く大切な臓器。

密かに壊れ、エンジンにダメージやストップを発生させる

このFPCMは

なんだかそれに似ている気がします。

すべてのFPCMの事前交換は、

特に年月の経過したBNR32では安全と思われます。

 

お問い合わせは、リオの大西までご連絡ください。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

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